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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻6号

2012年05月発行

文献概要

症例報告

視野欠損を伴ったコレステロール結晶塞栓症の1例

著者: 矢田貝剛1 三澤淳子1 平川聡史2 新村祐一郎3 岡崎裕史4 齋藤智一5

所属機関: 1掛川市立総合病院皮膚科 2浜松医科大学皮膚科教室 3掛川市立総合病院病理科 4掛川市立総合病院循環器内科 5掛川市立総合病院眼科

ページ範囲:P.417 - P.420

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要約 54歳,男性.心臓カテーテル検査および経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention)とimplantable cardioverter defibrillator植込み術を施行され,同時期よりアスピリン100mg/日,クロピドグレル硫酸塩75mg/日,ワルファリンカリウム3mg/日の内服を開始した.約2か月後より,右眼の視野欠損,両足趾の疼痛を自覚し,網状皮斑,潰瘍,壊疽が出現した.眼底検査で網膜動脈分岐部に塞栓するHollenhorst plaqueがみられ,皮膚生検で真皮深層の小動脈に紡錘形の裂隙を認め,コレステロール結晶塞栓症と診断した.ワルファリンカリウムを中止し,アルプロスタジル10mg/日,アトルバスタチンカルシウム10mg/日,プレドニゾロン30mg/日の投与を行ったが,皮膚症状は増悪し,眼症状は経過を通じて軽快しなかった.バルサルバ洞破裂による心不全で永眠した.非侵襲的に確認できる眼所見は,診断の一助となるものと期待される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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