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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻6号

2012年05月発行

文献概要

症例報告

壊死性筋膜炎との鑑別に苦慮し骨髄異形成症候群を合併した壊疽性膿皮症の1例

著者: 時田智子1 森康記1 岸隆行1 宮手美治2 宮入泰郎3

所属機関: 1岩手県立中央病院皮膚科 2岩手県立中央病院ICU科 3岩手県立中央病院血液内科

ページ範囲:P.434 - P.438

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要約 65歳,男性.高熱とともに左肘に有痛性発赤腫脹と排膿が出現し緊急入院となった.壊死性筋膜炎を考え切開,デブリードマンしたが皮疹は急速に拡大し,入院6日後より左下肢にも同様の皮疹が出現した.左上下肢からの皮膚病理組織学的所見は,ともに真皮から皮下脂肪織に好中球主体の炎症性細胞浸潤を認め,菌体成分はみられなかった.経過より壊疽性膿皮症と診断し,プレドニゾロン60mg/日を全身投与したところ,速やかに解熱し,皮疹の拡大は停止した.合併症の検索で骨髄異形成症候群が発見された.プレドニゾロンにて病勢をコントロールし,さらに分層植皮術を加えることで創の早期閉鎖が得られた.壊疽性膿皮症と壊死性筋膜炎はしばしば臨床経過が似るが,治療法が全く異なり,鑑別の手法,鑑別時期の重要性を再認識した.

参考文献

1) Brunsting LA, et al:Arch Dermatol 22:655, 1930
2) 赤坂江美子,他:西日皮膚 68:150, 2006
3) Wong CH, et al:Crit Care Med 32:1535, 2004
4) 長橋和矢,他:皮臨 43:829, 2001
5) 増田道彦,他:Modern Physician 17:1193, 1997
6) 通山 薫:臨床血液 47:167, 2006
7) 大口由香,他:臨皮 64:80, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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