臨床皮膚科66巻6号

2012年05月発行

症例報告

広基有茎性を呈した外陰部乳頭状汗腺腫の1例

著者： 髙木真知子¹ 小川陽一¹ 原田和俊¹ 川村龍吉¹ 柴垣直孝¹ 島田眞路¹

所属機関： ¹山梨大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲：P.445 - P.448

文献概要

要約　49歳，女性．1992年より右大陰唇の腫瘤を自覚していた．当初は大きさに変化なかったが，2009年夏より徐々に増大したため2011年3月中旬当科を初診した．右大陰唇に自覚症状を伴わない23×15mm大，広基有茎性，弾性軟，淡紅色～皮膚常色の腫瘤を認めた．病理組織学的に，表皮と非連続性の囊胞性病変であり，囊胞腔内へ断頭分泌を示す腺腔構造が乳頭腫状に増殖していた．以上の臨床・病理組織学的所見から，乳頭状汗腺腫と診断した．乳頭状汗腺腫は，通常ドーム状隆起を呈するため，臨床所見のみからは本症を強く疑わなかったが，病理組織学的所見と合わせて診断に至った．

参考文献

1) Werth R, et al:Zentralbl Gynäkol 22:513, 1878

2) Gates O, et al:Am J Pathol 19:591, 1943

3) 鷲尾　健，他：皮膚臨床 53:382, 2011

4) 川崎　洋，他：臨皮 62:319, 2008

5) 谷崎英昭，他：西日皮膚 68:451, 2006

6) Rosmaninho AD, et al:Dermatol Res Pract, 709371, 2010

7) 飯田絵里，他：皮膚臨床 52:136, 2010