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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻6号

2012年05月発行

文献概要

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文献紹介 天疱瘡患者血清中のデスモコリン3に対するIgG自己抗体はケラチノサイトの接着を喪失させる

著者: 松本奈央子1

所属機関: 1慶應義塾大学

ページ範囲:P.410 - P.410

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 天疱瘡は,デスモゾームを構成する分子であるデスモグレイン3(Dsg3)とデスモグレイン1(Dsg1)に対するIgG抗体によって生じる自己免疫疾患であり,抗Dsg3/Dsg1抗体の病原性はin vitroおよびin vivoで示されている.さらにDsg3遺伝子の欠損があるマウスでは粘膜に水疱が生じるが,別のデスモゾーム構成分子であるデスモコリン3(Dsc3)遺伝子が欠損したマウスでも同様の表現型が示される.

 今回著者らは,非典型的な臨床像を呈した天疱瘡患者で検出された抗Dsc3抗体の病原性について調べた.最初に,患者血清からDsc3に対するIgG抗体をリコンビナントDsc3蛋白を用いたアフィニティカラムクロマトグラフィーによって精製したところ,抗Dsc3抗体は表皮のみならず,培養ケラチノサイトにも反応することが確かめられた.さらに,ディスパーゼを用いたディソシエーションアッセイにて抗Dsc3抗体が表皮ケラチノサイトの接着力を喪失させることが示された.

参考文献

Rafei D, et al:IgG autoantibodies against desmocollin 3 in pemphigus sera induce loss of keratinocyte adhesion. Am J Pathol 178:718-723, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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