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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻7号

2012年06月発行

症例報告

慢性腎不全と結核罹患患者に生じた中毒性表皮壊死症の1例

著者: 松山阿美子1 守屋真希1 佐野沙織1 高橋一夫1 山本昌樹2 佐々木昌博2 高橋幸利3 池澤善郎1 相原道子1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科学 2横浜市立大学医学部免疫・血液・呼吸器内科学 3国立静岡てんかん・神経医療センター臨床研究部・小児科

ページ範囲:P.491 - P.496

文献概要

要約 68歳,女性.強皮症腎で血液透析中.2010年8月肺結核に対しHRZE〔イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),ピラジナミド(PZA),塩酸エタンブトール(EB)〕療法が開始された.同年10月発熱,全身に掻痒を伴う紅斑が出現し,翌日当科を受診した.発症前に抗結核薬以外に薬剤変更がなく,抗結核薬による薬疹を考えた.第2病日には口唇のびらんと四肢の水疱が出現し,臨床,病理組織所見より中毒性表皮壊死症と診断した.ステロイドパルス療法開始するもびらんは拡大し,透析に加えて単純血漿交換療法(plasma exchange:PE)の併用で治癒した.治癒後,治療目的でINHとRPFを少量より投与開始し,症状の誘発はみられなかった.透析患者に発症した感染症を伴う中毒性表皮壊死症において,十分な管理のもとに速やかにステロイドパルス療法やPEを行うことは有用であり,予後の改善につながると考えた.

参考文献

1) 池澤善郎,相原道子(編):薬疹のすべて,南江堂,p70, 2008
2) 相原道子,古江増隆(編):薬疹診療のフロントライン,中山書店,p93, 2011
3) 相原道子,古江増隆(編):薬疹診療のフロントライン,中山書店,p97, 2011
4) 相原道子,古江増隆(編):薬疹診療のフロントライン,中山書店,p78, 2011
5) Murata J, et al:J Allergy Clin Immunol 122:992, 2008
6) Tohyama M, et al:Br J Dermatol 159:981, 2008
7) Bastuji-Garin, et al:Investigative Dermatol 115:149, 2000
8) 福田英三:薬疹情報第14版,医療法人FDC福田皮ふ科クリニック 薬疹情報資料室,p422, 2011
9) Suzuki Y, et al:Chest 134:1027, 2008
10) 矢野修一:結核 79:1, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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