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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻7号

2012年06月発行

症例報告

Cronkhite-Canada症候群の1例

著者: 岡田絵美子1 田中京子2 稲積豊子1 松川英彦3 大山学4 辻口喜明5

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院皮膚科 2川崎市立病院皮膚科 3国家公務員共済組合連合会立川病院消化器内科 4慶應義塾大学医学部皮膚科 5つじぐち皮膚科クリニック

ページ範囲:P.503 - P.507

文献概要

要約 51歳,女性.初診1か月前より指尖部の色素沈着,味覚の低下を自覚した.間もなく頭髪や体毛が脱落しはじめ,その後手掌にも色素沈着が生じたため,精査目的で受診した.初診時,全身のびまん性脱毛と手掌・指尖部の色素沈着,爪甲先端の白濁を認めた.4週後,頭髪は疎となり約8週後には爪甲は全て脱落した.内視鏡検査で胃からS状結腸にかけて消化管ポリポーシスを認め,病理組織学的には好酸球主体の炎症性ポリープの所見であった.蛋白漏出シンチグラフィーでは上行~横行結腸にRIの貯留がみられた.非遺伝性で,以上の所見よりCronkhite-Canada症候群と診断した.便潜血と低アルブミン血症が持続していたため,消化管ポリポーシスに対しプレドニゾロン30mgを内服したところポリープ数が減少し低アルブミン血症が改善した.皮膚症状も軽快したが,プレドニゾロン中止後,好酸球増多と手の色素沈着が再燃した.本症の病態には好酸球を主体とした消化管の持続的な炎症に伴う吸収,栄養障害が関与していることが示唆された.

参考文献

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12) Yashiro M, et al:Digestion 69:57, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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