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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻7号

2012年06月発行

文献概要

症例報告

皮膚腺病の1例

著者: 菊澤亜夕子1 尾藤利憲1 岡昌宏1 錦織千佳子1

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科内科系講座皮膚科学分野

ページ範囲:P.537 - P.541

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要約 77歳,女性.1か月前より,徐々に増大する頸部の紅色腫瘤を主訴に受診した.右頸部に小指頭大と母指頭大の柔らかい紅色腫瘤を2個認め,ともに中央部が自壊排膿していた.熱感や圧痛などの炎症所見は乏しく,転移性皮膚癌やリンパ腫を考え皮膚生検を行った.病理組織学的に好中球を中心とした著明な炎症細胞を認め,乾酪壊死像は明らかでなかった.組織培養検査を実施したところ,組織の抗酸菌塗抹検査は陰性だったが,培養検査でMycobacterium tuberculosisが同定され,皮膚腺病と診断した.胸部X線像にて陳旧性結核像を認めたが,活動性の肺病変はなく,リンパ節からの皮膚浸潤と考えた.イソニアジド,リファンピシン内服にて速やかに寛解した.本邦では,肺結核が減少しているにもかかわらず,皮膚結核は減少しておらず,その理由として病気を抱えた高齢者を代表とする免疫低下者の増加が考えられる.結核の減少とともに皮膚結核も頻繁にみられる疾患ではなくなっているが,決して過去の疾患ではないことを常に念頭に置くべきであろう.

参考文献

1) 結核研究所疫学情報センター結核年報2009 Series1.結核発生動向速報,2009
2) 石井則久:最新皮膚科学体系 14:130, 2003
3) 森 竜樹,他:西日皮膚 72:367, 2011
4) 坂井博之,他:皮膚病診療 32:243, 2010
5) 中田 光,他:皮膚病診療 22:802, 2000
6) 門田匡史,他:皮膚臨床 45:731, 2003
7) 中出雅治,他:日胸外誌 44:1070, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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