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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

今月の症例

抗KS抗体陽性の抗ARS抗体症候群の1例

著者: 山名やよい1 石黒直子1 出雲雄大2 濱口儒人3 藤本学3 加治賢三4 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学第1内科 3金沢大学院医学系研究科皮膚科学 4小松市民病院皮膚科

ページ範囲:P.564 - P.568

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要約 38歳,男性.間質性肺炎に対するプレドニゾロン(PSL)を15mg/日に減量中,間質性肺炎の増悪とともに蝶形紅斑が出現した.その他の皮疹,筋・関節症状はなかった.皮疹の病理組織像では真皮全層に浮腫と血管・付属器周囲性にリンパ球,組織球を主体とする炎症細胞浸潤を認めたが,液状変性はなかった.蛍光抗体直接法にて表皮真皮境界部の一部にIgGが沈着していた.抗核抗体は40倍(細胞質型)で,抗DNA抗体,補体に異常はなかった.アルドラーゼ,CKは正常範囲内であったが,蝶形紅斑は皮膚筋炎に伴うものと判断し,免疫沈降法で抗KS抗体を検出したことも合わせ抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群と考えた.PSL 40mg/日に増量し,皮疹,間質性肺炎は軽快している.本抗体陽性例では間質性肺炎が先行し,典型的な皮膚筋炎の症状を呈さない症例が多く,留意する必要がある.

参考文献

1) 松下貴史,他:日皮会誌 115:2267, 2005
2) 加治賢三:皮膚臨床 50:251, 2008
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8) Koreeda Y, et al:Inter Med 49:361, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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