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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

高度の粘膜症状を伴った多発型固定薬疹の1例

著者: 西村(平井)千尋1 五味博子1 石井健1 早川和人1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.573 - P.578

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要約 41歳,男性.腹痛に対してSG配合顆粒®を内服3時間後に口唇の腫脹が生じ,その後38℃の発熱と口唇・外陰部のびらん,軀幹,四肢に紅斑,紫褐色斑が出現した.問診上,過去に三度鎮痛薬内服後に同様の症状を認め徐々に増悪していることや,毎回同じ部位に皮疹が生じることより自験例を重症の多発型固定薬疹と診断した.プレドニゾロン60mg/日内服で解熱し皮疹は軽快したが粘膜疹の改善がみられず,ステロイドパルス療法により徐々に軽快した.SG配合顆粒®の薬剤リンパ球刺激試験は陽性であり,パッチテストにてSG配合顆粒®とその成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素が皮疹部で陽性,無疹部で弱陽性を示した.自験例では,患者が原因薬剤とは気付かずに誘発を繰り返したことで重症化し,高度の粘膜症状を呈したと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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