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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

アロプリノールによる中毒性表皮壊死症の1例―原因成分,発症背景についての検討

著者: 眞海芳史1 安田文世1 森布衣子1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.579 - P.583

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要約 81歳,女性.既往に高尿酸血症あり.2010年9月からアロプリノール(ケトブン®)の内服を開始していた.同年10月初めから咽頭痛,頭痛,発熱が出現し近医を受診した.その後全身浮腫,爪甲大の紅斑が多発してきたため,当院救急外来を受診した.手掌,足底は弛緩性の巨大な水疱が多発,軀幹,四肢には浸潤を触れる爪甲大までの標的状紅斑が多発していた.両眼瞼は浮腫性で眼周囲にはびらんを呈し眼球結膜の充血があった.口唇,口腔粘膜,舌も全面びらんを呈し,易出血性で開口困難であった.Stevens-Johnson症候群進展型の中毒性表皮壊死症と診断し,ステロイドパルス療法,グロブリン製剤の投与,血漿交換を行い,救命しえたが,後遺症として重度の視力障害が残った.HLAではアロプリノールによる重症薬疹と関係の深いB58が陽性であった.また,薬剤リンパ球刺激試験の結果から本剤の成分組成が自験例の発症に関与している可能性が示唆された.

参考文献

1) 相原道子:皮膚臨床 51:49, 2009
2) 飯島正文:最新皮膚科学大系,5巻,中山書店,p36, 2004
3) 外園千恵,他:アレルギー 57:995, 2008
4) 岸田昌之,他:皮膚臨床 47:19, 2005
5) 大日輝記,他:医学のあゆみ 220:869, 2007
6) 安部正通,他:皮の科 8:159, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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