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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

ガバペンチンによる扁平苔癬型薬疹の1例

著者: 江野澤佳代1 荻原護久1 藤岡彰2 関東裕美1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学第一講座 2藤岡皮フ科クリニック

ページ範囲:P.584 - P.588

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要約 78歳,女性.痙攣発作のため,2009年2月からフェニトイン,3月からガバペンチンの内服を開始した.6月より口唇,その後体幹と四肢に皮疹が出現し,近医にてプレドニゾロン4mgの内服とステロイド外用を行ったが,皮疹は軽快しなかった.薬疹を疑い,9月から中止可能薬剤のガバペンチンのみ中止し,当科を紹介受診した.初診時,体幹,四肢の多彩な紅斑に加え,口唇と口腔内に皮疹を認めた.病理組織所見は,基底層の液状変性,真皮上層のリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認めたが,好酸球浸潤はみられなかった.内服薬剤を検討し,drug-induced lymphocyte stimulation testを施行したところ,ガバペンチンのみ陽性となり,ガバペンチンによる扁平苔癬型薬疹を考えた.治療はステロイド外用のみで,薬剤中止から6か月で皮疹はすべて色素沈着となり治癒した.ガバペンチンによる薬疹は本邦最初の報告例である.

参考文献

1) 福田英嗣:皮膚病診療 32:563, 2010
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3) 塩原哲夫:皮膚臨床 38:1207, 1996
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9) Picher WJ, Tilch J:Allergy 59:809, 2004
10) 福田英三:薬疹情報,第13版,福田皮ふ科クリニック,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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