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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

冠動脈interventional radiology施行後に生じた難治性放射性皮膚炎の2例

著者: 嘉山智子1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.593 - P.597

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要約 冠動脈interventional radiology(IVR)におけるX線透視により生じた背部の慢性放射性皮膚炎の2症例を報告した.症例1:61歳,男性.13回のIVRを受け13回目の透視時間は405分であった.症例2:79歳,男性.5回のIVRを受け透視時間は不明であったが長時間であった.いずれの症例も背部に四角形の紅斑びらんがみられ,症例1はステロイドやプロスタグランディン製剤など種々の外用剤による保存的加療を行っているが,10年以上の時を経てなお掻痒感が続き難治性のびらんがみられる.症例2は生検施行部位が潰瘍となり2か月後も同部位の上皮化がみられていない.どちらの症例もIVRにより放射線皮膚障害を引き起こす線量の被曝があったと推定される.循環器医と皮膚科医が連携し,慢性放射性皮膚炎の発生の減少および速やかな診断に努めることが重要である.われわれの2症例は背部に四角形の紅斑を生じていることが特徴であり,同様の症状をみた場合にはIVRの既往がないか患者に確認する必要がある.

参考文献

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9) Lichtenstein DA, et al:Arch Dermatol 132:663, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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