icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

急性増悪した虚血症状に経皮的血管形成術が奏効した抗リン脂質抗体症候群の1例

著者: 種本紗枝1 舩越建1 泉映里1 平井郁子1 橋本玲奈1 松原健太郎2 尾原秀明2 谷川瑛子1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.599 - P.604

文献購入ページに移動
要約 58歳,女性.全身性エリテマトーデス,抗リン脂質抗体症候群に伴う右Ⅰ~Ⅲ趾の壊死あり.胆石精査のため血流改善薬を一時中断したことを契機に急速に右足全趾の壊死が進行し,さらに右下腿に潰瘍を生じた.血管造影にて右前脛骨動脈の50%狭窄,腓骨動脈,後脛骨動脈の完全閉塞を認めた.血流改善薬を再開するも壊死,虚血症状は増悪した.右後脛骨動脈病変に対し経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty:PTA)を行い,血流が改善し,潰瘍は上皮化した.術後8か月を経過したが,再狭窄を認めていない.原病による再狭窄リスクが高いことから,膠原病,血管炎患者の下肢虚血症状に対するPTAの報告は少ない.自験例は,PTAで治療可能な下腿3分枝病変を有し,かつ,内科的治療に抵抗性であり,下肢切断を回避するためには外科的治療が唯一の選択肢であった.下肢の虚血性病変を有する膠原病,血管炎において,PTAによる下肢救済が可能な症例もあると思われた.

参考文献

1) 田辺恵美子:皮膚臨床 49:3, 2007
2) 根元 仁,他:皮膚病診療 29:9, 2007
3) 袖本衣代,他:皮膚臨床 49:9, 2007
4) Hugli RW, et al:Lupus 20:3, 2011
5) Osada S, et al:Clin Exp Dermatol 36:5, 2011
6) Both M, et al:Cardiovasc Intervent Radiol 26:19, 2003
7) Tyagi S, et al:Cardiovasc Intervent Radiol 21:219, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら