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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻8号

2012年07月発行

文献概要

症例報告

猫咬傷部に生じたMycobacterium chelonaeによる皮下膿瘍

著者: 塩田剛章1 小林憲1 澤田美月1 石崎純子1 田中勝1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター皮膚科

ページ範囲:P.639 - P.642

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要約 22歳,女性.職業:トリマー(ペット専門美容師)で,初診の3週間前,勤務中に左前腕を猫に咬まれた.2,3日後より,左前腕に表面発赤を伴い波動を触れる結節を形成し,切開にて血性膿を排出した.病理組織学的所見には真皮に好中球を混じる肉芽腫性細胞浸潤がみられた.膿の鏡検にて抗酸菌が陽性で,小川培地にて膿および皮膚組織より菌の発育を認め,DNA-DNAハイブリダイゼーション法にてMycobacterium chelonaeと同定した.レボフロキサシン投与で症状が遷延したため,クラリスロマイシンに変更し,症状の改善を認めた.猫咬傷でもPasteurella multocida以外に非結核性抗酸菌症などを疑い各種培養をすることが重要である.

参考文献

1) 中島 弘:皮膚抗酸菌症―その臨床と本邦報告例,メジカルセンス,p8, 1998
2) 中島 弘:皮膚抗酸菌症―その臨床と本邦報告例,メジカルセンス,p12, 40 1998
3) 坂崎利一:日臨微誌 5:90, 1995
4) 中島 弘,他:皮膚臨床 21:937, 1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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