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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

今月の症例

血疱,紫斑を伴った特異な蜂窩織炎の臨床を呈したShewanella algae菌血症の1例―生魚経口摂取が原因と考えられた1例

著者: 宗次太吉1 箭原弘典1 大久保佳子1 高河慎介1 沢田泰之1

所属機関: 1都立墨東病院皮膚科

ページ範囲:P.662 - P.665

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要約 76歳,女性.膵癌の手術歴あり.にぎり寿司を食べた2日後に左下腿の腫脹と疼痛が出現し徐々に拡大した.受診時,左下肢全体の強い腫脹と,下腿に紫斑や血疱を混じるびまん性の暗赤色斑を認めた.当初,Vibrio vulnificusによる壊死性筋膜炎も疑ったが,CT所見と全身状態より蜂窩織炎と診断し,抗生剤投与にて略治した.起炎菌は自動分析機によりShewanella putrefaciensと報告されたが,後に16S rRNA解析により起炎菌をShewanella algaeと同定した.経口感染による菌血症をきたし,局所では敗血症疹を合併し血疱,紫斑の形態を呈したため特異な臨床症状を呈したと考えた.S. algaeは海洋環境に分布し,経口および経皮感染を起こす.肝胆道系疾患や悪性腫瘍の合併があると重症化する症例があり,海水への曝露や生の魚介類摂取後に皮膚軟部組織感染症を起こした場合は,Shewanella感染症を鑑別に考える必要がある.

参考文献

1) Holt HM, et al:Clin Microbiol Infect 11:347, 2005
2) 古城八寿子:MB Derma 114:7, 2006
3) 木全恵子:富山衛研年報 31:135, 2008
4) 清水恒広,他:感染症学雑誌 83:553, 2009
5) Otsuka T, et al:J Gastroenterol 42:87, 2007
6) Dae SM, et al:J Korean Med Sci 24:1192, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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