icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

シクロホスファミドにより多発性固定薬疹様の表皮障害をきたした1例

著者: 小田富美子1 藤山幹子1 徳丸晶1 村上信司1 木谷彰岐2 橋本公二1 佐山浩二1

所属機関: 1愛媛大学医学部皮膚科 2愛媛大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.677 - P.681

文献購入ページに移動
要約 53歳,女性.VAC療法(硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD,シクロホスファミド)の7日後より口腔内びらん,翌日より40℃以上の高熱と耳介,左肘に表皮剝離が出現した.半年後のVAC療法でも5日目より口腔内びらんが出現し,拡大した.その後,40℃以上の発熱と,前回VAC療法施行時と同部位に表皮剝離が出現した.コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1,000mg/日の3日間投与,その後プレドニゾロン内服により軽快した.第21病日の薬剤リンパ球刺激試験は,シクロホスファミドのみ陽性であった.臨床像は多発性固定薬疹様であったが,薬剤投与後発症までの期間が長いこと,荷重部を中心に皮疹を認めたこと,病理組織学的に表皮ケラチノサイトの変性壊死を認めない基底細胞の液状変性が主体であったことよりシクロホスファミドによる表皮障害と考えた.

参考文献

1) 水川良子:最新皮膚科学大系,第5巻,中山書店,p67, 2004
2) Assier-Bonnet H, et al:Br J Dermatol 135:864, 1996
3) 塩原哲夫:日皮会誌 120:1157, 2010
4) 山本都美,他:皮膚臨床 49:323, 2007
5) Crider MK, et al:Arch Dermatol 122:1023, 1986
6) 渡辺朋美,他:Skin Cancer 15:79, 2000
7) Gaigl Z, et al:Eur J Dermatol 17:168, 2007
8) Sawada Y, et al:Eur J Dermatol 19:397, 2009
9) 萬谷直樹,他:肝臓 45:332, 2004
10) 川端留美,他:癌と化学療法 33:345, 2006
11) 萩原清文,他:Clin Rheumatol 19:170, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?