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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

インフリキシマブによる薬剤性肺炎の合併が疑われた関節症性乾癬の1例

著者: 大橋理加1 楠葉展大1 辻岡馨1 中川淳2 古田健二郎2 百名克文3

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科 2日本赤十字社和歌山医療センター呼吸器内科 3日本赤十字社和歌山医療センター整形外科

ページ範囲:P.682 - P.686

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要約 56歳,女性.2年来の臀部を中心とする落屑性紅斑,その後出現した手指の関節変形,関節痛より,関節症性乾癬と診断した.スクリーニング諸検査で問題なく,インフリキシマブの投与を開始したところ,皮膚症状,関節症状ともに著明に改善した.しかし,5回目投与後より咳嗽が出現し,胸部CTにて気管支血管束の肥厚を伴う両肺びまん性陰影を認めた.気管支鏡検査を施行したが,細菌学的,病理組織学的に有意な所見が得られず,クオンティフェロンテスト陰性であったことから結核を含めた感染症は否定的と考えた.本剤を中止したところ自覚症状が徐々に消失し,その後,画像所見の改善も認めたことから,本剤による薬剤性肺炎であったと考えた.なお中止後,皮膚症状,関節症状ともに再燃した.インフリキシマブによる肺障害は,乾癬患者においてはまだあまり報告がないが,呼吸器症状の鑑別診断において注目するべき副作用の1つである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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