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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

亀頭部に生じた壊疽性膿皮症の1例

著者: 佐藤英1 安田聖人1 金森祐太2 徳力篤3 清原隆宏3 熊切正信3

所属機関: 1福井大学医学部皮膚科形成外科診療班 2公立丹南病院皮膚科 3福井大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.687 - P.690

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要約 64歳,男性.既往歴にはB型肝炎がある.初診の約16か月前に屋外で転倒し,包皮部を裂傷し当院泌尿器科で保存的に加療された.初診の約2か月前に,亀頭部から出血したため,潰瘍部とその周囲の瘢痕組織の環状切除術が施行された.術後,創部から排膿を繰り返し治癒しないため当科へ紹介された.初診時,亀頭部に排膿を伴う穿掘性潰瘍があり,一部に尿道瘻を認めた.生検したところ,真皮内に主に好中球から構成される境界明瞭な膿瘍があった.膿瘍周囲には類上皮細胞肉芽腫がみられた.特殊染色と培養検査は陰性であった.壊疽性膿皮症と診断し,ステロイドの全身投与を行った.ステロイド治療開始10か月後,尿道瘻や瘢痕による変形は残存するものの,潰瘍部は上皮化した.陰茎部の壊疽性膿皮症は著明な浮腫や腫脹を生じるため,診断が難しく注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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