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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

胃癌と大腸癌を合併した抗155/140kDa蛋白抗体陽性の皮膚筋炎の1例

著者: 佐藤美聡1 栗原佑一1 西尾有紀子1 宮川俊一1 濱口儒人2 藤本学2

所属機関: 1川崎市立川崎病院皮膚科 2金沢大学大学院医学系研究所皮膚科学

ページ範囲:P.701 - P.705

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要約 64歳,男性.2008年頃より顔面の紅斑を認め,その2年後,四肢,体幹に掻痒の強い紅斑が急激に出現した.ヘリオトロープ疹,爪囲紅斑,爪上皮出血点,Gottron徴候,背部の掻痒の強い線状紅斑を認めた.筋原性酵素が軽度上昇していたが,筋力低下などの筋症状はなかった.皮膚筋炎と診断し,全身検索を行ったところ,胃癌,大腸癌の重複癌を認め,所属リンパ節郭清を含めた胃全摘術および脾摘術・横行結腸部分切除術を施行した.皮膚症状は,術後1か月にはほぼ色素沈着となった.免疫沈降法で,悪性腫瘍合併皮膚筋炎に高頻度に検出される,抗155/140kDa蛋白抗体が陽性であった.抗155/140kDa蛋白抗体陽性の重複癌合併皮膚筋炎は,調べえた限り本邦で初めてである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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