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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

足背の熱傷後に生じたtoxic shock syndromeの1例

著者: 崎山とも1 笠井弘子1 木花光1

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科

ページ範囲:P.717 - P.721

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要約 45歳,男性.左足背に熱湯で真皮深層までの手拳大の熱傷を受けた.その後数日で発熱,下痢,嘔吐,全身の多発融合性紅斑,血圧低下が出現した.血液検査でWBC 15,900/μl,CRP 28.63mg/dl.AST 77IU/l,ALT 35IU/l,BUN 81mg/dl,Cr 4.82mg/dlと肝腎機能障害,CK 4,549IU/lと上昇,Plt 4.2×104/μlとDICも認めた.Toxic shock syndrome(TSS)を疑いピペラシリンナトリウム4g/日,補液を開始.免疫グロブリン5g/日,ガベキサートメシル酸塩2g/日も3日間投与した.抗生剤は第6病日より塩酸バンコマイシン1g/日とメロペネム三水和物1g/日へ変更した.治癒期には掌蹠に膜様落屑を認め,熱傷部培養からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.感染徴候も軽度の比較的小範囲の熱傷が原因であった.多臓器不全を伴うびまん性の潮紅を見たときには,軽微な感染巣の場合でも鑑別としてTSSを疑う必要がある.熱傷患者に対する予防的な抗生剤投与がTSSの発症リスクを下げる可能性はある.一方で耐性菌を不必要に増やす危険もあり,TSSの発症頻度が低い中高年については,予防投与について十分に検討する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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