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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻9号

2012年08月発行

文献概要

症例報告

著明な血小板減少を伴ったマムシ咬傷の1例

著者: 奥沢康太郎1 中井章淳1 加藤則人1 末廣晃宏2

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 2大津市民病院皮膚科

ページ範囲:P.737 - P.740

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要約 75歳,女性.右第3指を蛇に咬まれた.咬まれた部位の出血が持続し,さらに嘔気・嘔吐が現れたため,受傷から6時間後に当科を受診した.腫脹は右手にとどまっていた.嘔吐物は血性成分に富み,血液検査では血小板数が1.2×104/μlと減少していたが,DICスコアは3点でありDICの診断基準は満たさなかった.受傷から8時間後にマムシ抗毒素血清6,000単位を投与した.投与から2時間後の血液検査において,血小板数は13.2×104/μlまで回復していた.その後,血小板数の減少はみられず,右手の腫脹は軽快し,入院8日目に退院した.近年,マムシ咬傷による局所の腫脹は軽度だが,急速な血小板減少をきたす症例が「血小板減少型」として提唱された.臨床症状からは思いもよらない血小板減少により重症化しやすいため,早期のマムシ抗毒素血清の投与が必要である.血小板数はマムシ抗毒素血清の投与により速やかに回復することが多く自験例でも血小板輸血を要しなかった.

参考文献

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10) 内田立身:日内誌 82:8, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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