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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻1号

2013年01月発行

症例報告

パニツムマブによる痤瘡様皮疹が多発潰瘍化した1例

著者: 井下哉恵1 片山利枝1 松本千穂1 三宅泰裕2

所属機関: 1箕面市立病院皮膚科 2箕面市立病院外科

ページ範囲:P.21 - P.25

文献概要

要約 64歳,女性.直腸癌の肝転移,肺転移に対し,パニツムマブ,塩酸イリノテカンを開始した.投与1週間後から痤瘡様皮疹が出現し,10週目ごろから悪化した.初診時,体幹上肢に黄色壊死組織を伴う点状潰瘍,紅斑が多発散在していた.潰瘍は増大し,疼痛も増強したため,投与開始後14週で両薬剤とも休薬した.休薬後も皮疹は拡大し,潰瘍も増大したが,20週目以降に軽快傾向を示した.塩酸ミノサイクリン内服,ステロイド外用で加療し,1か所残存した潰瘍部は縫縮した.病理組織像では表皮は欠損し,真皮上層に好中球,リンパ球浸潤を認めた.パニツムマブによる痤瘡様皮疹の多発潰瘍化と診断した.今後,分子標的薬の使用はますます増加していくと思われ,このような症例の対応については今後の課題と思われる.

参考文献

点滴静注100mg特定使用成績調査中間集計結果報告,武田薬品工業株式会社,p3, 2011
を正しく使いこなすコツ,メディカルレビュー社,p26, 2010
注射液100mg使用成績調査(全例調査)最終集計結果のご報告,メルクセローノ株式会社,ブリストル・マイヤーズ株式会社,p10, p15, p24, 2011
4) 坪井賢治,他:癌と化学療法 38:1549, 2011
5) Navarini A, et al:Eur J Dermatol 21:282, 2011
6) Lacouture ME:Nat Rev Cancer 6:803, 2006
7) Van Cutsem E, et al:J Clin Oncol 25:1658, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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