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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻1号

2013年01月発行

文献概要

症例報告

ステロイド大量療法が躊躇された水疱性類天疱瘡に対して免疫グロブリン大量静注療法が有効であった1例

著者: 高岡佑三子1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚生命科学講座(皮膚科学分野)

ページ範囲:P.41 - P.44

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要約 90歳,男性.前立腺癌でホルモン療法中に全身掻痒を主訴に受診した.経過中に浮腫性紅斑と緊満性水疱が出現した.病理組織学的に表皮下水疱と好酸球の浸潤を認め,蛍光抗体直接法で皮膚表皮基底膜部にIgG,C3が沈着していた.抗BP180抗体も740index(ELISA)で陽性であったことから,水疱性類天疱瘡と診断した.プロピオン酸クロベタゾール外用およびニコチン酸アミド1,500mg/日と塩酸ドキシサイクリン300mg/日内服を開始したが,その後も水疱は増加した.経口プレドニゾロン20mg/日内服へ変更したが改善しなかったため,免疫グロブリン大量静注(intravenous immunoglobulin:IVIG)療法として乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン400mg/kg/日の投与を連日5日間併用した.IVIG療法1回目開始から39日後に,2回目のIVIG療法を1回目と同様に連日5日間施行した.2回目のIVIG療法投与後7日目の抗BP180抗体は980indexまで減少し良好にコントロールできた.副作用を懸念してステロイド大量療法が躊躇された水疱性類天疱瘡に対して,免疫グロブリン大量静注療法が新たな治療法の1つとなる可能性がある.

参考文献

1) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,6巻,中山書店,p82, 2002
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6) 北島康雄:厚生労働科学研究費補助金難治性皮膚疾患克服研究事業 診断治療ガイドライン,p17, 2008
7) Jolles S, et al:Clin Exp Immunol 142:1, 2005
8) 市川博雄,他:神経治療学 19:607, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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