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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻1号

2013年01月発行

症例報告

G-CSF産生皮膚有棘細胞癌の1例

著者: 林郁伶12 稲福和宏1 小野泰伸1 神戸直智2 松江弘之2

所属機関: 1国保君津中央病院皮膚科 2千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.59 - P.62

文献概要

要約 60歳,男性.2009年11月頃に右鼠径部に大豆大の腫瘍が出現し,増大した.2010年5月上旬より食欲不振があり,居室で倒れているところを発見され救急搬送された.右鼠径部には滲出液および悪臭を放つ16×10cm大の表面カリフラワー様の紅色腫瘤を認めた.検査所見は末梢白血球数46,700/μl(Seg. 91.1%),血清Ca 18.3mg/dlで,高Ca血症は補液およびエルカトニン注40エルカトニン単位を1日2回投与にて改善した.入院後7日目に腫瘍全摘し,有棘細胞癌Stage II(T3N0M0)と診断した.白血球増多は腫瘍切除後速やかに正常範囲内へ回復した.血中のG-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)高値(171pg/ml)を認め,抗G-CSF抗体よる免疫組織学染色の結果,腫瘍細胞の細胞質が陽性となりG-CSF産生腫瘍と判断した.白血球増多を示すG-CSF産生有棘細胞癌について皮膚科領域での報告は稀である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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