icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻1号

2013年01月発行

文献概要

症例報告

皮膚悪性黒色腫に乳癌が併発した1例

著者: 河相美奈子1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 宮地良樹1 宮川文2

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科 2京都大学医学部大学院医学研究科病理診断学

ページ範囲:P.63 - P.67

文献購入ページに移動
要約 58歳,女性.20年前に出現した右踵部黒色斑が徐々に増大するため当院初診した.皮膚悪性黒色腫(cutaneous melanoma:CM)と考え,5mmマージンを取り,腫瘍を単純切除し,右鼠径部リンパ節生検を行った.病理組織像は表皮内から脂肪組織にわたって異型メラノサイトの増殖を認め,側方断端陽性,深部断端陰性,センチネルリンパ節陰性であった.2週間後に,拡大切除,植皮術,右鼠径部リンパ節郭清術を施行した.pT4aN0M0,臨床病期Stage IIBと診断した.術後DAV-Feron療法を3コース施行した後,定期的に経過観察していたが,術後5年目に,超音波検査にて肝臓に遠隔転移を認めた.また,左下腿および左乳房下に皮下腫瘍が出現した.皮下腫瘍に対し,切除術を施行したところ,左下腿はCMの転移であり,左乳房下は浸潤性乳管癌であった.浸潤性乳管癌に対して,レトロゾール(アロマターゼ阻害剤)を2.5mg/日で開始した.CMに対しては,DAV-Feron療法をさらに2クール施行したが,腫瘍が拡大したため,以後はインターフェロンβを300万単位/週で投与した.転移性腫瘍は進行し,再発の1年後に永眠された.疫学調査ならびに遺伝子検査から,CMと乳癌の重複発症が示唆されているため,CM患者では,乳癌の併発も念頭に置いて経過をフォローアップしていく必要がある.

参考文献

1) Goggins W, et al:Int J Cancer 111:792, 2004
2) Spanogle JP, et al:J Am Acad Dermatol 62:757, 2010
3) 嶋田 鼎,他:外科 71:1581, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?