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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻1号

2013年01月発行

文献概要

症例報告

診断に苦慮したMicrosporum canisによる体部・頭部白癬の1例

著者: 小林博人1 望月隆2

所属機関: 1皮膚科小林医院 2金沢医科大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.79 - P.83

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要約 63歳,女性.5年前より関節リウマチでプレドニゾロン(5mg/日)を服用中である.初診の2年前から体幹に皮疹が出没しステロイド剤を外用していた.初診1週間前に皮疹の新生があり受診した.腹部,背部に湿疹様病変を認め,また本人は気付かないものの後頭部に落屑性紅斑が認められた.体幹,頭部の鱗屑はKOH直接鏡検法陽性,真菌培養でMicrosporum canisが分離された.8週間抗真菌剤の内服を行い,治癒と判定した.その8か月後に顔面,頸部,頭部に落屑性紅斑が出現した.後頭部のKOH法で毛髪への小胞子菌性寄生を認め,再度M. canisが分離された.14週間抗真菌剤の内服を行い治癒とした.この症例は初診時皮疹の性状が白癬の定型例ではなく,また治癒判定にも疑問が残り,診断に苦慮した例といえる.

参考文献

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11) Ilkit M, et al:Mycoses 50:130, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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