icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

ダビガトランが奏効したリベド血管症の1例

著者: 松立吉弘1 仁木真理子1 村尾和俊1 久保宜明1

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野

ページ範囲:P.759 - P.763

文献購入ページに移動
要約 51歳,男性.5年前から左下腿の痺れを自覚し,2年前からは両下腿の潰瘍を繰り返していた.初診時,両下肢に網状皮斑があり,左下腿内側には紫斑や不整形潰瘍,白色萎縮性瘢痕を認めた.凝固能の延長はなく,ループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体は陰性であった.病理組織学的にはフィブリン血栓の像で,壊死性血管炎は認めなかった.リベド血管症と診断し,ワルファリンカリウム,アスピリンを開始,一時症状は改善したが,再燃・軽快を繰り返した.経過中に脳出血を起こしたため治療は中止し,再燃時にはプレドニゾロン20mg/日,シロスタゾールを投与したが改善しなかった.そこでダビガトランを併用したところ速やかに改善した.リベド血管症の難治例に対するワルファリンカリウムの有効性は近年注目されているが,出血リスクの高い症例やワルファリンカリウムで効果不十分な症例ではダビガトランによる抗凝固療法が新たな治療法になりうると考える.

参考文献

1) 永井弥生:日皮会誌 122:2295, 2012
2) 古口華子,他:臨皮 66:207, 2012
3) Browning CE, et al:Arch Dermatol 142:75, 2006
4) 勝岡憲生,他:日皮会誌 118:2095, 2008
5) Connolly SJ, et al:N Engl J Med 361:1139, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?