臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

症例報告

爪甲下に発症した血管拡張性肉芽腫の1例

著者： 堺美由紀¹ 今井亜希子¹ 渡邊京子¹

所属機関： ¹湘南藤沢徳洲会病院皮膚科

ページ範囲：P.783 - P.786

要約　74歳，男性．右中指を芝で刺した後，同指の爪甲下に易出血性の13×10mm大の鮮紅色結節が出現した．血管拡張性肉芽腫のほかに，有棘細胞癌も考えた．生検の病理組織像では，大小不同の毛細血管の増生と炎症細胞浸潤であり，血管拡張性肉芽腫と診断した．CO₂レーザーによる焼灼術を選択し，手指や爪甲の変形はきたさず治癒した．爪甲下の血管拡張性肉芽腫の本邦での報告は少ない．しかし，血管拡張性肉芽腫は日常診療でよく遭遇する疾患であり，爪甲下に発症する例もまれではないと考えた．腫瘍の発生部位，大きさ，整容性などを考慮し，治療方法の選択をすることが望ましいと考えた．

参考文献

1) 桑名隆一郎：高知市医誌 8:120, 2003

2) 林　大海，他：日形会誌 24:722, 2004

3) 望月佳子：西日皮膚 67:76, 2005

4) 吉田淳一，村木良一：皮膚臨床 48:687, 2006

5) 山田瑠美，他：皮膚臨床 48:1748, 2006

6) 長谷井麻希，他：日皮会誌 119:1594, 2009

7) 廣島光恵，他：皮膚病診療 33:285, 2011

8) 橋下　透：皮膚臨床 44:1177, 2002