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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

老人性血管腫の皮膚生検が診断に有用であった血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

著者: 池田彩1 大島衣里子1 宮本麻美1 永松麻紀1 宮崎明子1 小澤健太郎1 田所丈嗣1 詫間智英子2 玄富翰2

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構大阪医療センター脳卒中内科

ページ範囲:P.792 - P.796

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要約 80歳,女性.2011年6月下旬からふらつきを自覚し急速に進行した.頭部MRIにて両側大脳に多発性の高信号域を認め,血液検査にて可溶性IL-2レセプター3,220U/mlとLDH 1,024IU/lの高値を示したことから血管内リンパ腫を疑われ,同年8月にランダム皮膚生検目的に当科を紹介された.両腹部,前腕,大腿の4か所の無疹部の生検では腫瘍細胞は認めず,両腹部,前腕の3か所の老人性血管腫からの生検で,2か所において血管内に異型リンパ球を認めた.異型リンパ球はCD20陽性で,血管内大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.これまでにランダム皮膚生検の有用性は報告されているが,老人性血管腫の生検は採取すべき部位が明確で,陽性率が比較的高く,確定診断につながる可能性がある.本疾患の診断には老人性血管腫の生検も有用であると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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