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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

未治療の重症糖尿病に合併した巨大癰の1例

著者: 川田裕味子1 西岡美南1 瀬戸英伸1 坂東弘教2 陳慶祥2 岩井泰博3

所属機関: 1愛仁会高槻病院皮膚科 2愛仁会高槻病院糖代謝内分泌内科 3愛仁会高槻病院病理部

ページ範囲:P.809 - P.812

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要約 62歳,女性.背部に径3cmほどの有痛性皮疹が出現した.増大し38℃台の発熱も出現したため当科を受診した.背部中央に,膿栓を多数伴う15×16cm大のドーム状に隆起した暗紅色の隆起性局面を認め,癰と診断した.当科受診まで糖尿病治療歴はなかったが,血糖495mg/dl,HbA1c 13.8%と重症の糖尿病を発症していることが判明した.切開排膿,抗生剤投与,厳重な血糖コントロールを行い,約2週間で炎症は消退した.炎症消退後は広範囲に皮下組織の壊死が残存し,デブリードマン後に巨大な皮下のポケットが出現した.1か月間VAC療法を行い,ポケットは閉鎖した.保存的治療のみで最終的な創の閉鎖状態は整容面で患者の満足度が高いものであった.巨大癰では,早期に広範囲の皮膚を切除して植皮を行うことがある.しかし,整容面を考慮すると,皮膚の切除は最小限にし,皮下の壊死組織を除去した後にVAC療法などを併用する保存的治療も選択肢であると考えた.

参考文献

1) 檜垣修一,他:最新皮膚科学大系14巻,中山書店,p75, 2002
2) 秋田尚見,他:皮膚病診療 30:877, 2008
3) 田村奈渚,他:皮膚病診療 32:1335, 2010
4) 佐藤直樹,他:皮膚臨床 54:1251, 2012
5) 井上勝平:皮膚病診療 23:453, 2001
6) 山本 卓,他:Derma 78:13, 2003
7) 宮国 均:Derma 85:56, 2004
8) 石田 正,他:臨皮 63:767, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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