icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

Nocardia otitidiscaviarumによる続発性皮膚ノカルジア症の1例

著者: 内山泉1 伊藤泰介1 戸倉新樹1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.813 - P.816

文献購入ページに移動
要約 49歳,男性.初診1か月前より,誘因なく右臀部に疼痛を伴う直径約10cmの皮下腫瘤が出現したが,放置していた.その後血液検査にて急性骨髄性白血病と診断され,当院血液内科に入院し,臀部の皮下腫瘤について当科を紹介された.皮膚切開で淡黄色の混濁した粘稠な排膿があり,塗抹標本でグラム陽性の繊細な枝分かれした菌糸を認め,Ziehl-Neelsen染色で抗酸性を確認し,ノカルジア症と診断した.抗菌薬感受性試験,有機物分解能検査にてNocardia otitidiscaviarumと推定され,PCRとシークエンスによる遺伝子解析からも同菌種と同定された.肺の所見から肺ノカルジア症が疑われた.本人に外傷の既往はなく,続発性皮膚ノカルジア症と診断した.ST合剤10g/日の内服を行い,2か月後には皮下膿瘍,肺炎像も改善した.免疫不全患者に皮下膿瘍が生じた場合,ノカルジア症を念頭に置いて診断・治療すべきと考えられた.

参考文献

1) Stella PR, et al:Neth J Med 44:178, 1994
2) 矢沢勝清,三上 襄:検査と技術 29:111, 2001
3) 占部治邦,松本忠彦:医真菌学,金原出版,p182, 1993
4) Kageyama A, et al:Eur J Epidemiol 19:382, 2004
5) 由月英行,他:日呼吸会誌 39:338, 2001
6) 島田信一郎,他:感染症誌 84:206, 2010
7) Dodds EM, et al:Ocul Immunol Inflamm 14:249, 2006
8) 清水 馨,他:医学検査 59:726, 2010
9) 和田 広,他:日呼吸会誌 45:643, 2007
10) Pelaez AI, et al:Ann Clin Microbiol Antimicrob 8:11, 2009
11) 岸みずほ,他:医学検査 60:900, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?