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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

環状丘疹性梅毒の1例

著者: 高木奈緒1 福地修1 松尾光馬1 伊藤寿啓1 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.817 - P.821

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要約 27歳,女性.初診の約4か月前から,体幹,頭部に鱗屑を伴う紅斑が多発し,前医を受診した.受診時極端なるい痩を呈し,微量元素欠乏による皮膚炎,乾癬などの炎症性角化症を疑われ,ステロイド外用剤で治療されていた.しかし,徐々に皮疹が拡大してきたため,当科を紹介受診した.辺縁に鱗屑を伴う環状紅色局面が体幹に多発し,中心部は褐色調を呈していた.生検時の検査上,梅毒血清反応が陽性であり,定量ではTPHA 10,240倍,ガラス板法512倍であった.HIV抗体は陰性であった.病理組織学的所見では,不全角化,表皮突起の延長,角層下膿疱,真皮の血管周囲に形質細胞を含む細胞浸潤を認めた.皮疹の性状および病理組織学的所見より第2期梅毒である環状丘疹性梅毒疹と診断し,アモキシシリン1,500mg/日の内服を開始し皮疹は4週後に色素沈着を残して消退した.非特異的な環状皮疹をみた場合,梅毒を念頭に置く必要があり,梅毒血清反応検査を積極的に行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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