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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻10号

2013年09月発行

文献概要

症例報告

Chronic expanding hematomaを疑った外傷性横紋筋融解症の1例

著者: 一宮誠1 柏木圭介1 若松研弥1 武藤正彦1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.822 - P.824

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要約 72歳,男性.初診約3か月前,交通事故にて背部を強打した.その後,同部が徐々に腫大したため,当科を受診した.背部に手拳大の波動を触れる軟らかい皮下腫瘤を認めた.血中クレアチニンキナーゼ値は正常で,MRI T1強調画像で,内部は高信号で,一部には低信号領域が混在していたことから,chronic expanding hematomaを疑った.しかし切除術を施行したところ,茶褐色を呈する融解した筋組織を認めた.病理組織検査においても,線維化を伴った,壊死した筋組織を認めた.以上から,外傷性横紋筋融解症と診断した.自験例は,交通事故直後には,受傷部位の急激な腫脹や重篤な腎障害は生じなかったが,3か月後に,囊腫様病変を呈するという,非常に稀な経過をとった.

参考文献

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8) 花井順一,他:診断と治療 81:495, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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