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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

原著

角化型疥癬を感染源とした保育園疥癬集団感染例

著者: 牧上久仁子1 小野田雅仁2 小竹伊津子3 石井則久4

所属機関: 1つばさ在宅クリニック 2おのだ皮膚科 3コタケ皮膚科医院 4国立感染症研究所ハンセン病研究センター

ページ範囲:P.942 - P.947

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要約 ステロイド外用により角化型疥癬を発症した4歳児が感染源となった園児18名,家族7名,職員3名が疥癬を発症した保育園集団感染を経験した.初発患者はアトピー性皮膚炎以外に健康上問題なく,クロタミトン外用では再発を5回繰り返し,イベルメクチンを投与し治癒した.再発は二次感染者(園児8名,保護者2名)でもみられた.全関係者が治癒と判定されるまでに18か月を要した.再発に加えて,乳幼児では成人に比べ疥癬後遺症状の頻度が高く治癒判定が難しいことも終息に時間がかかった要因と考えられた.本事例では通常保育のクラスでの感染以外に,家庭内や,土曜保育での感染が認められ,感染対策にあたって保育状況を把握する必要があった.本事例は,関係者と地域の医療関係者に集団感染の認知直後から疥癬に関する情報提供を行い,パニックは起こらなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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