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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

症例報告

結節性紅斑様皮疹の病理組織所見より診断に至った神経Behçet病の1例

著者: 本多皓1 松﨑ひとみ1 栗原英美1 高橋京子1 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.948 - P.952

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要約 52歳,男性.初診3日前より感冒症状あり,発熱と意識障害を生じ当院に搬送された.意識レベルJCSI-3,体温40.4℃,項部硬直あり,両下腿に大豆大の浸潤性紅斑を多数認めた.血液検査にてWBC 9.2×103/μl,CRP 23.7mg/dlと炎症反応高値,髄液検査では髄圧亢進と好中球主体の細胞数増加を呈した.感染性髄膜脳炎の診断でメロペネム水和物6g/日,バンコマイシン塩酸塩2g/日,アシクロビル750mg/日を投与したが,発熱と頭痛は持続した.下腿紅斑の病理組織にて真皮中下層の細静脈にリンパ球性血管炎を認め,Behçet病を疑った.精査にてぶどう膜炎,再発性口腔内アフタ,針反応陽性を認め,不全型Behçet病,神経Behçet病と診断した.プレドニゾロン30mg/日投与にて,発熱・頭痛ともに改善した.Behçet病の結節性紅斑様皮疹・浸潤性紅斑は脂肪織炎に加え,リンパ球・好中球性細静脈炎を主とする血管病変を認めることが多い.初診時の臨床・検査所見では診断に難渋したが,皮膚病理組織所見より診断に至った.全身疾患における皮膚所見の重要性を再認識した.

参考文献

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2) 水島 裕,他:最新医学 43:382, 1988
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9) Kim B, et al:Am J Dermatopathol 22:379, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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