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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

症例報告

老年期にみられた汎発性Hailey-Hailey病の1例

著者: 千田聡子1 藤本典宏1 端本宇志1 佐藤貴浩1

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学教室

ページ範囲:P.953 - P.957

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要約 78歳,男性.約40年前から夏期に増悪する紅斑やびらんを間擦部に繰り返し,妹や娘にも同様の症状があった.某内科医院で外用ステロイド軟膏により加療されていたが,昨年夏より軀幹・四肢に小水疱,膿疱を伴うびらん,紅斑が拡大し来院した.生検組織では表皮内の裂隙形成と表皮細胞の棘融解像を認め,汎発性Hailey-Hailey病と診断した.膿疱内からはメシチリン感受性黄色ブドウ球菌を検出した.抗生剤内服でいったん汎発化が治まったが,ステロイド外用と抗アレルギー剤内服に変更したところ,短期間で再び汎発化した.エトレチナート20mg/日,塩酸ミノサイクリン200mg/日内服とステロイド外用で著明に改善した.自験例では,夏期の皮疹増悪時に入浴および洗浄を控えたが,一方でステロイド軟膏外用は継続したため,細菌感染を生じ,汎発化した.塩酸ミノサイクリン投与で感染が鎮静化し,炎症性サイトカインが抑制され,症状改善したと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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