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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

症例報告

ムチン沈着を伴った巨大な表在性皮膚脂肪腫性母斑の1例

著者: 吉田亜希12 前田文彦12 赤坂俊英1

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学講座 2赤坂病院皮膚科

ページ範囲:P.976 - P.980

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要約 66歳,男性.30歳台頃に初めて右臀部,右下肢の皮疹に気付いたが放置していた.初診時,右臀部から大腿および下腿後面にかけて常色から一部淡紅色を示す巨大な隆起性局面を断続的に認め,臀部では腫瘤が脳回転状に大型の皺襞を形成していた.局面上には大小,拇指頭大までの有茎性ないしは広基性の弾性軟,常色腫瘤を多数認めた.自覚症状はなかった.治療は臀部の腫瘤部分を切除,縫縮した.組織所見では真皮浅層から深層にかけ成熟した脂肪細胞が異所性に密に増生していた.また臀部の腫瘤部に限局して真皮内に著明なムチン沈着もみられた.自験例は巨大な表在性脂肪腫性母斑であり,調べえた限り本邦報告例では最大である.自験例はきわめて稀な臨床像であり,組織学的にムチン沈着が生じた機序に外的刺激の関与の可能性を考えた.

参考文献

1) Hoffmann, E, et al:Arch Dermatol Syph 130;327, 1921
2) 平林 恵,帆足俊彦:臨皮 66:235, 2012
3) Bergonse FN, et al:J Dermatol 27:16, 2000
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7) 新村紀子,他:臨皮 36:707, 1982
8) 松本博子,他:臨皮 46:1149, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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