icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

症例報告

鼻背部に生じたリンパ管への分化傾向を示す脈管肉腫の1例

著者: 岡村賢1 川口雅一1 上原香子1 矢口順子1 村田壱大1 片桐美之1 鈴木民夫1 加藤智也2 山川光徳2

所属機関: 1山形大学医学部皮膚科学講座 2山形大学医学部病理診断学講座

ページ範囲:P.986 - P.990

文献購入ページに移動
要約 83歳,男性.2012年3月に右鼻背部の紅色腫瘤に気付いた.拡大傾向にあったため,近医皮膚科を経由し,6月に当科を受診した.右鼻背部に径20×20mm,高さ3mmの凹凸のある紅色腫瘤を認め,周囲に径33×24mmの紅斑がみられた.病理組織像では,真皮上層から皮下にかけて核異型を伴う類上皮細胞様細胞が充実性あるいは索状に増殖していた.一部ではHobnail cell(鋲釘様細胞)を含む内皮細胞様の細胞が不規則な管腔様の裂隙を形成していた.免疫染色では,腫瘍細胞はD2-40,抗Factor Ⅷ抗体,抗CD31抗体で染色され,CD34は発現していなかった.PET/CTではリンパ節転移・遠隔転移を認めなかった.10mmマージンで切除し植皮した後,ドセタキセル(25mg/m2)の投与と60Gy/30分割の局所放射線照射を併用した.自験例では予後の異なる血管肉腫とリンパ管肉腫の鑑別が困難であった.病理組織学的に,D2-40の染色パターン,Hobnail cellの有無,管腔内外の赤血球の有無などが鑑別に有用であると考えた.

参考文献

1) Mendenhall WM, et al:Am J Clin Oncol 29:524, 2006
2) Sordillo PP, et al:Cancer 48:1674, 1981
3) Hancox JG, et al:J Am Acad Dermatol 56:530, 2007
4) 吉村映里,他:西日皮膚 71:571, 2009
5) 山本圭子,他:Skin Cancer 22:44, 2007
6) Marks A, et al:Br J Cancer 80:569, 1999
7) Kahn HJ, et al:Mod Pathol 15:434, 2002
8) Schacht V, et al:Am J Pathol 166:913, 2005
9) Sonne SB, et al:Virchows Arch 449:200, 2006
10) Donghi D, et al:J Eur Acad Dermatol Venereol 24:1230, 2010
11) Elder DE, et al(eds):Lever's Histopathology of the Skin, 10th ed, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, p1021, 2008
12) Mankey CC, et al:Histopatholgy 56:364, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?