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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻12号

2013年11月発行

文献概要

症例報告

急性B型肝炎に伴う血清病様症候群の1例

著者: 佐伯葉子1 安藤菜緒1 岡島加代子1 佐藤佐由里1 堀江義則2 佐伯秀久3 伊東慶悟3 大槻マミ太郎4

所属機関: 1山王病院皮膚科 2山王病院内科 3東京慈恵会医科大学皮膚科 4自治医科大学皮膚科

ページ範囲:P.1007 - P.1011

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要約 39歳,女性.初診の2日前より両手掌および両下腿から足背にかけて皮疹が出現し,2011年7月当科を受診した.なお同じ頃から関節痛も生じていた.両下腿から足背にかけて軽度浸潤を触れる紅色丘疹ないし小紅斑が散在し,両手掌基部と手指先にやや浮腫性の紅斑を認めた.血液検査でAST 90U/l,ALT 108U/lと上昇し,HBs抗原2,456COIと高値を示した.皮膚病理組織所見では表皮の一部に強い細胞間浮腫を認め,その周囲にリンパ球が浸潤していた.急性B型肝炎に伴う血清病様症候群と診断した.皮疹は無治療にて1週間後に自然消退した.その後さらに肝機能が悪化したため,エンテカビル1日1回0.5mg内服を開始したところ,1か月後に肝機能は正常化した.1983年以降に本邦の皮膚科領域から報告されたB型肝炎に伴う血清病様症候群の原著報告12例を解析した.皮膚症状の出現後さらに肝機能が悪化した例が10例あり,継続的な肝機能の観察が必要と考えた.

参考文献

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15) 町田裕美子,他:皮膚病診療 26:1277, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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