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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

今月の症例

中型先天性色素細胞母斑より生じた無色素性悪性黒色腫の1例

著者: 萩原里香1 水谷和広1 鈴木教之1 山田元人1

所属機関: 1豊橋市民病院皮膚科

ページ範囲:P.1028 - P.1032

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要約 45歳,女性.出生時より右側頭部に常色顆粒状局面が存在し,2か月前から同部位より腫瘤が出現し,2010年11月初診した.右側頭部に約8×8cm大の常色顆粒状局面が存在し,その内部に径約3cm大の淡紅色ドーム状皮膚腫瘤を認めた.病理組織学的に,真皮全層にびまん性に母斑細胞の増生を認め,ドーム状腫瘤の部位に一致して,真皮内に異型細胞からなる腫瘍塊を認めた.腫瘍細胞内に,メラニン顆粒はほとんどみられなかった.免疫組織化学的に,HMB-45は腫瘍細胞と,一部の母斑細胞が陽性を示した.S100蛋白,メランAは腫瘍細胞,母斑細胞ともに陽性であった.全身検索で,遠隔転移はなく,中型先天性色素細胞母斑から発生した無色素性悪性黒色腫Stage ⅢAと診断した.大型先天性色素細胞母斑だけでなく,中型先天性色素細胞母斑も悪性黒色腫の発生母地として注意すべきである.また,先天性色素細胞母斑から無色素性悪性黒色腫の発生は稀である.

参考文献

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9) Watabe H, et al:J Biol Chem 279:7971, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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