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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

小児に生じた角層下膿疱症の1例

著者: 山本洋輔1 中野倫代1 鎌田憲明1 神戸直智1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.1043 - P.1046

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要約 1歳,男児.2010年6月頃より,背部および間擦部に膿疱を伴う紅斑が出現した.2週間程度の経過で寛解,増悪を繰り返しながら皮疹は遠心性に拡大し,8月に当科を受診した.初診時,前胸部,腰背部に辺縁に小膿疱を伴った環状の紅斑を認め,一部は辺縁に襟飾り状の鱗屑を伴っていた.病理組織像で角層下に好中球を主体とする膿疱を認めた,蛍光抗体直接法でIgG,IgM,IgA,C3のいずれも沈着はしていなかった.細菌培養では起炎菌は検出されず,角層下膿疱症と診断した.IgA骨髄腫,潰瘍性大腸炎の合併は認めなかった.2~3週間ごとに新たな膿疱の再燃を繰り返したが,4か月を経過した頃より消退し,その後,皮疹の再燃は現在までない.角層下膿疱症と膿疱性乾癬との異同には議論がある.自験例では発熱などの全身症状を認めないこと,外用ステロイドと抗ヒスタミン薬のみで軽快したことから,角層下膿疱症と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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