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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

インフリキシマブ治療に抵抗性を示し,VEGF上昇に伴い水疱が出現した関節症性乾癬の1例

著者: 忍田陽香1 伊藤寿啓1 伊東慶悟1 佐伯秀久1 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.1047 - P.1052

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要約 42歳,女性.尋常性乾癬をインフリキシマブ(IFX)で治療し皮疹は著明に改善していたが,IFX開始から22週頃(IFX 5回目)に乾癬性関節炎が出現し,30週頃より皮疹が増悪した.IFX 6回目の投与(31週目)から4週後,両側頰部と鼻背部に紅斑,右前腕に緊満性水疱が出現し,水疱は両前腕に拡大した.また乾癬の皮疹はさらに増悪し,体幹に周囲が堤防状に隆起する環状紅斑を認め,小膿疱を伴った.抗IFX抗体は陽性であった.病理組織学的所見では角層下に海綿状膿疱と表皮下水疱を認めた.IFX治療中に乾癬性関節炎が出現し,乾癬が膿疱性乾癬へ進展し,水疱を伴ったと考えた.また水疱形成時の血中のvascular endothelial growth factor(VEGF)値は897pg/ml(血清値)と高値を示し,水疱消退後に低下した.VEGF値は中等症から重症の乾癬で上昇し病変の範囲と相関するという報告があるが,本症例ではVEGFによる血管透過性亢進が水疱形成の原因となったと考えられた.

参考文献

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9) Elizabeth C, et al:Int J Dermatol 47:514, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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