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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

アルコール依存症患者に生じたペラグラの1例

著者: 白瀬春奈1 山口さやか1 深井恭子1 宮城拓也1 眞鳥繁隆1 山本雄一1 高橋健造1 上里博1

所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座

ページ範囲:P.1053 - P.1057

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要約 33歳,女性.約15年にわたり連日飲酒している.半年前より食事量が減り,同時期より飲酒量が増えた.当科初診の約2か月前より手指,足趾,口囲に紫紅色の紅斑が出現した.1週間前,日光曝露後により症状が増悪したため,当科を紹介受診した.口囲,手背,手指,足背,足縁に紫紅色の紅斑・腫脹・鱗屑がみられ,手指・手背には水疱も散見された.露光部とサンダルによる摩擦部では皮膚症状は強く認められた.手足には灼熱感としびれも伴っていた.病理組織学的所見では,表皮細胞に空胞変性,好酸性壊死がみられた.また,表皮真皮境界部に液状変性があり,有棘層に裂隙を形成していた.以上より自験例をペラグラと診断しニコチン酸内服を開始したところ,皮疹は急速に軽快し約2週間で略治した.ペラグラは近年稀な疾患となりつつあるが,アルコール依存症などの背景を有する患者が光線過敏様症状を呈した場合,鑑別の1つとして挙げる必要がある.

参考文献

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7) Harber LC, Baer RL:J Invest Dermatol 58:327, 1972
8) Hendericks WM:Semin Dermatol 10:282, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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