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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

炎症性線状疣贅状表皮母斑の1例

著者: 秋山俊洋1 植木理恵2 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学・アレルギー学講座 2順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科

ページ範囲:P.1058 - P.1062

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要約 64歳,女性.出生時より左大腿から足底にかけて,Blaschko線に沿った掻痒を伴わない黄褐色から暗褐色の疣贅様小丘疹が線状に集簇し,一部は癒合していた.5年程前より掻痒が出現し,足底部の角質が増殖した.組織所見では著明な角質増生がみられ,表皮突起の延長,リンパ球の表皮内浸潤と海綿状態がみられ,真皮上層に血管周囲性リンパ球浸潤が観察された.以上より自験例を炎症性線状疣贅状表皮母斑(inflammatory linear verrucous epidermal nevus;ILVEN)と診断した.本邦のILVENにおける過去28年間の報告26例では,13例が5歳以下に発生,男女比は1:1で右下肢が多く,外用療法が奏効したのは自験例を含め2例だった.自験例ではビタミンD3軟膏やステロイド軟膏の単純塗布および密封包帯法(occlusive dressing technique:ODT)は無効であった.両者の等量混合剤によるODTを実施したところ,掻痒や過角化は著明に改善した.種々の治療に抵抗性のILVENでは,ビタミンD3軟膏とステロイド軟膏の混合剤によるODTが治療の選択肢になりうると考えた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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