icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

特異な病理組織像を呈した腋窩アポクリン腺癌の1例

著者: 本田理恵1 鬼澤沙織1 伊藤周作1 杉田真太朗2

所属機関: 1日立製作所日立総合病院皮膚科 2日立製作所日立総合病院病理科

ページ範囲:P.1079 - P.1082

文献購入ページに移動
要約 68歳,男性.左腋窩に30年前から自覚する皮疹が2か月前より増大してきたため受診した.母指頭大のやや硬い紅色結節で,粉瘤などを疑い切除した.病理組織像は真皮から脂肪織にかけて増生した膠原線維間に,非常に小さな腫瘍巣が分け入るように存在し,一部はIndian fileを示して増殖していた.腫瘍細胞は好酸性の細胞質に富み,空胞とジアスターゼ抵抗性PAS陽性顆粒を伴い,GCDFP-15陽性であった.管腔形成や断頭分泌はみられなかった.全身検索にて他臓器腺癌はなく皮膚原発のアポクリン腺癌と診断した.拡大切除し,術後3年経過した現在,再発転移は認めない.アポクリン腺癌は数か月~数十年の間,大きさの変わらない状態のことがあり,この時期の臨床像や病理組織像に関する具体的な報告は乏しい.自験例は特異な病理組織像であったために診断に苦慮した.

参考文献

1) Philip EL, et al:Pathology and Genetics of Skin Tumors, IARC, Lyon, p135, 2006
2) 田中隆光,他:Skin Cancer 25:185, 2010
3) 神崎美玲,他:皮膚臨床 50:401, 2008
4) Hollowell KL, et al:J Surg Oncol 105:415, 2012
5) 小川陽一,他:日皮会誌 117:1331, 2007
6) 爲政大幾,他:Skin Cancer 10:28, 1995
7) 中川浩一,他:日皮病理組織会誌 5:76, 1990
8) 西川祐司,他:日病理会誌 80:316, 1991
9) Miyamoto T, et al:J Clin Pathol 58:757, 2005
10) Robson A, et al:Am J Surg Pathol 32:682, 2008
11) Elston CW & Ellis IO:Histopathology 19:403, 1991
12) 古舘禎騎,他:臨皮 65:883, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?