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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

腎細胞癌発見の契機となった頭部転移性皮膚癌の2例

著者: 酒井あかり12 高塚純子2 竹之内辰也2 斉藤俊弘3

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科 3新潟県立がんセンター新潟病院泌尿器科

ページ範囲:P.1083 - P.1086

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要約 腎細胞癌発見の契機となった頭部転移性皮膚癌を2例経験した.症例1:91歳女性,3か月前より頭部2か所に急速に増大する弾性軟,径15mm大の有茎性紅色腫瘤を認めた.症例2:63歳,男性,2年前に頭部の紅色腫瘤を近医で切除され,脂腺腺腫と診断された.その後同部に腫瘤が再発し,近傍にも径25mm大の弾性軟紅色腫瘤を生じた.いずれも病理組織所見上,真皮内に大型で淡明な細胞質を持つ腫瘍細胞が胞巣状に増生していた.全身症状の訴えはなかったが,CT検査で腎細胞癌の多臓器転移を認め,生検病理組織像と併せて淡明細胞型腎細胞癌の皮膚転移と診断した.一般に転移性皮膚癌は硬く触れる皮膚・皮下腫瘤の形態をとることが多い.しかし,腎癌の皮膚転移は弾性軟で,むしろ血管腫や毛細血管拡張性肉芽腫などの皮膚原発性腫瘍を想起させる形状を呈する.今回の2症例も前医からは良性腫瘍の臨床診断で紹介されており,過小診断とならないように注意が必要である.

参考文献

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14) 竹之内辰也,高塚純子:皮膚病診療 34:903,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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