icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

症例報告

皮膚原発marginal zone B-cell lymphomaの1例

著者: 岡林綾1 吉田康彦1 今西久幹1 大霜智子1 中川浩一1 和田直樹2 青笹克之2

所属機関: 1大阪府済生会富田林病院皮膚科 2大阪大学大学院医学系研究科病態病理学

ページ範囲:P.1091 - P.1095

文献購入ページに移動
要約 31歳,男性.初診2か月前から右上腕に無症候性皮疹が出現した.初診時に直径2cmと5mmの隣接する紅色の結節および丘疹を認めた.皮膚生検では,Grenz zoneを伴い,真皮全層に稠密に細胞が浸潤しており,一部に濾胞様構造を形成していた.腫瘍細胞はB細胞性の小型リンパ球様細胞が主体で,形質細胞様の細胞も混在していた.免疫グロブリン軽鎖はκ鎖のみが陽性だった.PET-CTで全身に有意な集積像を認めず,皮膚原発marginal zone B-cell lymphomaと診断した.皮膚腫瘍を3cmマージンで切除し遊離植皮術で再建した.術後1年8か月現在まで再発はない.皮膚原発marginal zone B-cell lymphomaは皮膚原発悪性リンパ腫の7%を占めるのみであり,比較的稀な疾患である.限局性の病変では手術もしくは放射線療法が第一選択とされているが,切除マージンなどのコンセンサスはいまだなく,今後の症例の蓄積が待たれる.

参考文献

1) Willemze R, et al:Blood 105:3768, 2005
2) Dalle S, et al:Crit Rev Oncol Hematol 74:156, 2010
3) Issacson PG, Wright DH:Cancer 52:1410, 1983
4) 日本胃癌学会(編):胃癌診療ガイドライン付胃悪性リンパ腫診療の手引き,医師用2010年10月改訂,第3版,金原出版,p51, 2010
5) Li C, et al:Am J Surg Pathol 27:1061, 2003
6) 滝川雅浩,他:新・皮膚悪性リンパ腫アトラス,文光堂,p100, 2006
7) 滝川雅浩,他:新・皮膚悪性リンパ腫アトラス,文光堂,p150, 2006
8) 二神綾子,他:Skin Cancer 17:288, 2002
9) 新井栄一:Skin Cancer 17:283, 2002
10) 井上禎規,他:臨皮 59:307, 2005
11) 古谷喜義,他:日皮会誌 111:834, 2001
12) 古田未征,他:臨皮 57:1210, 2003
13) 真鍋恵津子,他:皮膚臨床 49:693, 2007
14) 小竹理子,飯田直成:日形会誌 30:172, 2010
15) 木村 浩,他:皮膚臨床 54:778, 2012
16) 南場裕美,他:皮膚のリンフォーマXVI:98, 1997
17) 林 昌浩,他:皮膚臨床 46:1381, 2004
18) 嶋田八恵,他:臨皮 59:310, 2005
19) 荻田あづさ,他:Skin Cancer 21:345, 2006
20) 影山潮人,他:Skin Cancer 23:72, 2008
21) 高林彩子,他:皮膚臨床 51:227, 2009
22) 加賀谷真起子,他:日皮会誌 120:233, 2010
23) 江口弘伸,他:皮膚臨床 54:559, 2012
24) 浅井俊弥,他:皮膚病診療 31:656, 2009
25) 青木見佳子,他:Skin Cancer 25:168, 2010
26) 新井聖一,他:皮膚臨床 43:1227, 2001
27) 高塚純子,他:臨皮 55:175, 2001
28) 岸 隆行,他:臨皮 65:432, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?