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症例報告
当科で経験した加水分解小麦含有石鹸使用により生じた小麦アレルギーについて
著者: 浜出洋平1 佐藤英嗣1
所属機関: 1JA北海道厚生連帯広厚生病院皮膚科
ページ範囲:P.108 - P.112
文献購入ページに移動要約 2009年頃より旧茶のしずく石鹸®に含まれる加水分解小麦(グルパール19S)により生じた小麦アレルギー疑い症例が国内で報告され始めた.その後次第に患者数は増加し,2011年5月にメーカーが旧製品の自主回収を全国の報道機関へ発表したため,国民に広く知られるところとなった.当科で経験した加水分解小麦含有石鹸による小麦アレルギー疑い症例32例について検討したところ,本疾患と診断した例は16例であった.除外診断できた1例を除き,15例は受診時には小麦摂取による症状発現がなかったが,問診・臨床症状から本疾患を疑った.以上より,加水分解小麦含有石鹸使用者の半数は,無症状であるか,軽度の接触蕁麻疹までの発症であることが推測された.約6か月を無症状で経過した5例について,小麦摂取を少量許可し症状は発現していないため,小麦除去と抗ヒスタミン薬内服などにより本疾患は軽快していく可能性があると考えられた.
参考文献
1) 杉山晃子,他:アレルギー 60:1532, 2011
2) Morita E, et al:Allergol Int 58:493, 2009
3) 千貫祐子,他:皮膚病診療 33:444, 2011
4) 千貫祐子,森田栄伸:臨皮 66:8, 2012
5) 羽田泰宏,伊藤浩明:小児科 53:1, 2012
6) 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2012,協和企画,2012
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