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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻2号

2013年02月発行

症例報告

凍瘡様皮疹に引き続いて発症したneuropsychiatric systemic lupus erythematosusの1例

著者: 新井崇1 加藤雪彦1 杉井章二2 西村隆夫3

所属機関: 1東京都立多摩総合医療センター皮膚科 2東京都立多摩総合医療センター膠原病内科 3東京都立多摩総合医療センター精神科

ページ範囲:P.139 - P.143

文献概要

要約 16歳,女性.2011年2月中旬より両手指に有痛性の皮疹,両肩関節痛,38℃の発熱が出現した.近医を受診し,汎血球減少,腎機能障害が認められ,当院膠原病内科を受診し全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)と診断された.手指の凍瘡様皮疹の病理組織所見では角質層の肥厚,基底層の液状変性,真皮上層から中層にかけて血管周囲性にリンパ球の浸潤が認められた.加療中に不穏,異常行動,観念奔逸,無言無動などの精神神経症状が認められた.脳MRI画像で左被殻に高信号を呈し,また髄液中IL-6が高値であることからneuropsychiatric SLE(NPSLE)と診断した.NPSLE発症を疑わせる皮疹が存在すれば,皮膚科医もそれを念頭に置くことができるが,過去のNPSLE発症報告例の皮疹を検討したところ特徴的な皮疹はなかった.ただし,Raynaud症状,円盤状皮疹を初発とする症例は認められなかった.また,NPSLE発症例は全SLEに比べ男性の割合が多かった.NPSLEはSLEの予後を左右する因子の1つと考えた.

参考文献

1) Wallace DJ, Hahn BH(ed):Dubois' Lupus Erythematosus, 6th ed, Lippincott Williams and Wilkins, Philadelphia, p693, 2002
2) 戸叶嘉明:臨床科学 31:546, 1995
3) 広畑俊成:内科 95:857, No.5, 2005
4) 原田俊英,他:神経内科 45:475, 1996
5) 松川吉博,西成田進:臨床リウマチ 8:36, 1996
6) 古川福美:日皮会誌 118:2738, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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