icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻2号

2013年02月発行

症例報告

モルフェアを合併した全身性強皮症の1例

著者: 渡辺彩乃1 森志朋1 赤坂俊英1 佐々木豪2

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室 2佐々木皮膚科医院

ページ範囲:P.145 - P.149

文献概要

要約 55歳,女性.初診の1年前より左乳房に表面に光沢を有する茶褐色皮疹と頭部の脱毛局面が出現した.その後,両手指の浮腫,Raynaud症状に加えて手首のこわばりを自覚した.両手指に限局した浮腫と軽度の硬化および爪上皮の延長,点状出血を伴う臨床像と右前腕部の病理組織像より,limited typeの全身性強皮症と診断した.自己抗体も含め,検査値に異常はなかった.左乳房部,頭部の皮膚硬化局面の病理組織像では,真皮全層に膠原線維の増生,膨化を認め,結節状を呈していた.内臓合併症を伴い予後が不良といわれているgeneralized morphea-like systemic sclerosisとの鑑別を要したが,臨床症状および病理組織所見よりモルフェアを合併した全身性強皮症と診断した.モルフェアの患者を診察した際には,全身性強皮症を伴う可能性のあることを念頭に置き経過を見ていく必要があると考えた.

参考文献

1) 永田弥生,他:皮膚臨床 48:1169, 2006
2) 大石京介,他:皮膚臨床 51:639, 2009
3) Mackel SE, et al:J Invest Dermatol 73:368, 1979
4) 永山三千代,他:皮膚臨床 33:1675, 1991
5) 竹原和彦,他:厚生省特定疾患強皮症調査研究班 平成元年度報告書,p97, 1990
6) 矢澤徳仁,他:皮膚臨床 41:443, 1999
7) 伊藤宗成,他:臨皮 60:13, 2006
8) 久保正英,他:皮膚臨床 49:599, 2007
9) 東 祥子,他:皮膚病診療 32:887, 2010
10) Tsavaris, N, et al:Br J Cancer 87:21, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら